乾癬
乾癬
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乾癬(かんせん)は、表皮の炎症と角化が特徴の皮膚疾患です。皮膚に赤い盛り上がり(紅斑)と、その表面に銀白色のフケのような皮むけ(鱗屑)が現れる慢性的な皮膚疾患です。主に頭皮、肘、膝、腰まわり、臀部など刺激を受けやすい部位に症状が出やすく、良くなったり悪くなったりを繰り返す特徴があります。
乾癬は見た目の変化が目立ちやすく、「皮膚がはがれ落ちる」「赤みが広がる」といった症状から、日常生活や対人関係に強いストレスを感じる方も少なくありません。一方で、乾癬は感染症ではなく、他人にうつる病気ではありません。適切な治療と継続的なケアによって、症状をコントロールしていくことが可能な疾患です。
乾癬の発症には、免疫の異常が関与していると考えられています。皮膚は一定の周期で新しい細胞に生まれ変わります。これをターンオーバーといいます。通常、この期間は約45日ですが、乾癬ではこのターンオーバーが約4~7日と短縮しているため、表皮の細胞が短期間で大量に作られることで、皮膚の赤みや厚み、皮むけといった症状が現れます。
また、遺伝的な体質が関係している場合もあり、家族に乾癬の方がいる場合は発症しやすい傾向があるとされています。ただし、遺伝だけで発症するわけではなく、精神的ストレス、風邪などの感染症、生活習慣の乱れ、皮膚への強い刺激や外傷、喫煙や飲酒などがきっかけとなって症状が現れたり悪化したりすることがあります。
乾癬にはいくつかのタイプがあり、症状の現れ方によって分類されます。
尋常性乾癬
乾癬の典型例です。頭皮、肘、膝、臀部などに多くみられます。
滴状乾癬
小さな赤い発疹が全身に広がるタイプで、風邪などの感染症をきっかけに発症することがあります。
膿疱性乾癬
皮膚に膿をもった水ぶくれが現れるタイプで、全身症状を伴うこともあります。
乾癬性関節炎
皮膚症状に加えて、関節の痛みや腫れを伴うタイプです。
乾癬性紅皮症
乾癬が広範囲(体表面積の90%以上)に及ぶタイプです。
乾癬の診断は、主に問診と視診・触診によって行います。症状の経過、かゆみの有無、皮疹の分布・性状、皮むけの状態などを総合的に判断します。乾癬と症状が似ている他の疾患との鑑別は重要です。必要に応じて顕微鏡検査、採血、皮膚生検を行います。
乾癬の治療は主に、外用薬と紫外線療法(エキシマライト)です。時に内服薬も使用します。
ステロイドには炎症を抑える作用、ビタミンD3には皮膚のターンオーバーを整える作用があり、それらを配合した塗り薬です。乾癬の皮疹に対して効果的に治療できるため、最もよく使用されます。剤形は軟膏、ゲル、フォームがあります。なお、配合されているステロイドはベリーストロングに分類されますので、基本的には頭や体に使用し、顔や首などの皮膚が薄い部分には使用しません。
5つのランクのステロイド外用薬があります。剤形も、軟膏、クリーム、ローションなどがあります。炎症やかゆみを抑える基本になる塗り薬です。上記の配合薬では外用できない顔や首の乾癬に対して使用することが多いです。
皮膚のターンオーバーを整える塗り薬です。ステロイドや配合薬の外用によって炎症が落ち着いた皮疹に対して使用することが多いです。なお、ビタミンD3製剤には使用上限があります。大量に外用すると、皮膚からビタミンD3が吸収され、高カルシウム血症になる可能性があるからです(ビタミンD3には血中カルシウムの濃度を上げる作用があります)。高カルシウム血症になると、倦怠感、食欲低下、吐き気などの症状が起こります。したがって使用上限は守りましょう。
<使用上限>
当院ではエキシマライトを使用した紫外線療法も行っています。308nmの波長の紫外線を患部に照射するターゲット型の治療法です。外用薬では十分な効果が得られない場合や、難治性の病変に対して有効です。照射時間は数秒から数十秒程度です。週2回の通院が理想ですが、1~2週間の間隔でも効果があります。皮膚の炎症を抑える効果があり、かゆみの軽減も期待できます。
炎症に関わる特定の分子を阻害し、免疫を抑える飲み薬です。16歳以上で、ステロイド外用、紫外線療法などの治療で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の30%以上に及ぶ方が適応になります。特に体の広範囲に皮疹がある方に有効です。長期間飲み続けるものではなく、8~12週間で終了します。使用中は腎障害などの確認のため定期的に採血を行います。症状が軽快した後は、通常の外用治療に切り替えます。
上記でも改善が乏しい重症な場合や、膿疱性乾癬、乾癬性関節炎、乾癬性紅皮症の場合は、下記の治療が選択肢になります。
これらの治療は、即効性はあるものの、値段が高い治療になります。当院では行っておらず、必要な場合には専門医療機関へご紹介いたします。
皮膚への刺激を避ける
皮膚をかいたり強くこすったりすると、その刺激で新たな皮疹が生じることがあります(ケブネル現象)。かゆみがあっても爪でかかず、入浴時もタオルで強くこすらないようにしましょう。
肥満の解消
肥満は乾癬の悪化因子であり、治療効果にも影響することがあります。適切な体重管理を心がけましょう。
禁煙
喫煙は乾癬の発症や悪化に関与することが知られています。喫煙している方は禁煙を強くおすすめします。
節酒
飲酒も乾癬を悪化させる要因の一つです。過度な飲酒は控え、適量を心がけましょう。
ストレス
ストレスや睡眠不足は症状を悪化させるため、規則正しい生活を心がけましょう。
他にもたくさんありますが、特に治療方針が異なる疾患を下記に挙げました。
マラセチアという真菌が関与する皮膚炎です。頭部の乾癬の場合に鑑別が重要です。いずれもふけが生じますが、乾癬の皮膚は赤くて厚みがある一方、脂漏性皮膚炎の皮膚は赤みがあっても厚みがないことが多いです。ステロイド外用と、ニゾラール(ケトコナゾール)が有効です。詳細は脂漏性皮膚炎をご覧ください。
手のひら、足の裏(特に土踏まず)に、赤みや膿疱が多発する疾患です。病態は乾癬と似ていると言われています。ステロイド外用薬と紫外線療法(エキシマライト)が有効です。歯や扁桃に病巣があることが多く、それに対する治療も大切になります。喫煙している方は禁煙も有効です。
白癬菌による真菌感染症です。足白癬が有名ですが、体や爪にも白癬菌が感染することがあり、それぞれ体部白癬、爪白癬と言います。体の乾癬は体部白癬との鑑別が、爪の乾癬(爪に乾癬が生じることもあり爪乾癬といいます)は爪白癬との鑑別が必要になることもあります。顕微鏡検査で白癬菌の有無を確認します。体部白癬や爪白癬の治療は、抗真菌薬の外用あるいは内服です。詳細は水虫(白癬)をご覧ください。
梅毒トレポネーマによる細菌感染症です。性行為で感染する性感染症の側面があります。梅毒は多彩な症状を呈し、梅毒性乾癬といって、乾癬と似た皮疹を呈することがあります。性行為の有無の問診と皮疹の診察により、疑わしい場合は採血をすることがあります。治療はペニシリン系抗菌薬が有効です。詳細は梅毒をご覧ください。
表皮の悪性腫瘍で、表皮内にとどまっている表皮内がんです。中高年の方に生じます。ざらざらした赤みのある皮疹が乾癬と似ており、必要に応じて皮膚生検を行います。治療は切除ですが、悪性腫瘍のため腫瘍境界から数mm離して切除する必要があります。
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