イソトレチノイン(にきび)
イソトレチノイン(にきび)
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イソトレチノインは、ビタミンAの誘導体(レチノイド)に分類される内服薬です。日本では保険収載されていませんが、海外では難治性にきびや重症にきび(嚢腫性ざ瘡・結節性ざ瘡)の治療薬として広く用いられています。イソトレチノインは皮脂腺に直接作用し、皮脂の分泌を抑制することが最大の特徴です。そのため、他のにきび治療薬とは異なり、単なる対症療法ではなく、にきびが生じる根本的な要因に働きかけることが可能です。保険内の治療ではなかなか改善しないにきびがあれば、お気軽にご相談ください。
イソトレチノインの主な作用は、①皮脂腺の縮小・皮脂分泌抑制、②毛穴のつまりの改善、③抗炎症作用であり、その結果として、④アクネ菌の増殖抑制が起こります。すなわち、単一の薬剤でありながら、にきびの発生に関わる4つの病態すべてに作用するのです。にきびの詳しい病態に関しては、にきび(尋常性ざ瘡)をご覧ください。
イソトレチノインは核内受容体であるRAR(レチノイン酸受容体)とRXR(レチノイドX受容体)に結合し、皮脂を分泌する脂腺細胞の分化・増殖を抑制します。これにより、皮脂腺の細胞数が減少し、腺自体が萎縮します。治療終了後も皮脂腺の縮小状態が持続するため、他の治療薬と異なり「長期寛解」が得られます。これが再発しにくい最大の理由です。
イソトレチノインは角化異常を正常化する作用もあります。具体的には、角化細胞の過剰な増殖を抑え、細胞間の接着を弱めることで脱落(ターンオーバー)を促進し、毛穴のつまり(コメド・面ぽう:白にきびや黒にきび)を改善します。ピーリング剤が表皮~毛包上部に作用するのとは異なり、内服薬であるため、毛包の深部から作用する点が特徴です。
イソトレチノインには炎症を抑制する効果もあります。アクネ菌に対する過剰な免疫反応を抑えることで、赤にきびや黄にきびを改善し、深部の嚢腫性にきびや結節性にきびにも縮小効果があります。抗菌薬が「菌を殺すことで間接的に炎症を抑える」のとは異なり、イソトレチノインは炎症を直接抑制する点が特徴です。
アクネ菌は皮脂を栄養源として増殖します。毛穴がつまり、皮脂が充満したコメド内は、アクネ菌にとって発育に適した環境になっています。イソトレチノインは、上記の作用により「アクネ菌が生きられない環境」を作ることで、間接的にアクネ菌の増殖を抑えます。
適切な用量・期間で使用した場合、患者の約85〜90%に改善が認められると言われています。他の治療では得られない「長期寛解」が最大の強みです。
日本人では、1日1回20mgが標準量です。乾燥などの副作用で続けられない場合は、1日10mgに減量することもあります。また、効果が不十分な場合や体格によっては増量することがあります。
イソトレチノインには「累積投与量」という考え方があります。目標とされるのは体重1kgあたり120mg〜150mgです。この累積投与量に達すると、内服終了後の再発率が下がると言われています。
| 120mg/kgの場合 | 150mg/kgの場合 | |
| 体重40kg | 4800mg = 20 mg/日×240日 (8か月) | 6000mg = 20 mg/日×300日 (10か月) |
| 体重50kg | 6000mg = 20 mg/日×300日 (10か月) | 7500mg = 20 mg/day×375日 (12.5か月) |
| 体重60kg | 7200mg = 20 mg/日×360日 (12か月) | 9000mg = 20 mg/day×450日 (15か月) |
| 体重70kg | 8400mg = 20 mg/日×420日 (14か月) | 10500mg = 20 mg/day×525日 (17.5か月) |
| 体重80kg | 9600mg = 20 mg/日×480日 (16か月) | 12000mg = 20 mg/day×600日 (20か月) |
| 体重90kg | 10800mg = 20 mg/日×540日 (18か月) | 13500mg = 20 mg/day×675日 (22.5か月) |
| 体重100kg | 12000mg = 20 mg/日×600日 (20か月) | 15000mg = 20 mg/day×750日 (25か月) |
累積投与量120mg/kgを目標に1日20mgを内服する場合、体重(kg)÷5=目安の月数となります。
イソトレチノインを内服できる年齢は、当院では男女ともに原則18歳以上としています。ただし、女性で15歳以上18歳未満の場合は、重症にきびによる心理的負担も考慮したうえで、身長の伸びが止まっていれば内服可能としています。
イソトレチノインは、正しく使えば非常に有効な治療薬です。当院では、皮膚科専門医による定期的な診察と血液検査を行いながら、安全性を確認しつつ治療を進めてまいります。にきびでお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
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