乳児湿疹
乳児湿疹
乳児湿疹は、生後数週間から1歳未満の赤ちゃんに現れる湿疹(皮膚炎)の総称です。この時期の赤ちゃんは、皮脂の分泌が多かったり、皮膚のバリア機能が未熟だったりするため、湿疹(皮膚炎)ができやすい状態になっています。一般に乳児湿疹という場合、①脂漏性皮膚炎、②アトピー性皮膚炎、③皮脂欠乏性湿疹、④接触皮膚炎(よだれかぶれ、おむつかぶれ)、⑤汗疹(あせも)の5つの疾患が含まれます。
母親由来のホルモンの影響で皮脂の分泌が一時的に増加し、マラセチアという真菌も関与して生じる皮膚炎です。頭、おでこ、鼻、頬、耳の後ろなど皮脂の多い場所に、黄色い脂っぽいかさぶたのようなものが付着します。
治療の基本はスキンケアで、入浴前にベビーオイルやワセリンでかさぶたを柔らかくしてから、石鹸で優しく洗い流します。弱めのステロイドの外用薬や抗真菌薬の外用を併用することもあります。生後8〜12か月までに自然に治ることが多いです。脂漏性皮膚炎のページもご覧ください。
皮膚のバリア機能障害を背景に、慢性的に再発を繰り返す湿疹です。乳児においては2か月以上続く、または繰り返す湿疹で、本人や家族にアレルギー疾患の既往があることが多いです。乳児期には顔(特に頬)から始まり、じくじくと湿った赤い湿疹やぶつぶつが左右対称にできます。その後、首、肘や膝の内側、耳の付け根に広がります。良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。
治療の基本は保湿剤によるスキンケアとステロイド外用薬による炎症を抑える治療です。症状に応じた強さのステロイドを適切に使い、良くなった後も保湿を続けましょう。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬という飲み薬を使うこともあります。必要に応じて非ステロイド外用薬も使用することがあります。悪化の原因となるもの(食べ物、ダニ、汗など)を取り除くことや、生活環境を整えることも大切です。アトピー性皮膚炎のページもご覧ください。
皮脂の分泌が減り、皮膚の水分を保つ力が低下して、皮膚が乾燥することで起こる湿疹です。乳児期後半から幼児期にかけては、自然に皮脂の分泌が減る時期があり、特に秋冬の乾燥した季節や、お風呂に入りすぎることで悪化します。皮脂の少ないすね、太もも、腕の外側や体に、カサカサした乾燥性の湿疹ができます。皮膚の表面に細かいひび割れが見られ、粉をふいたように白っぽくなります。顔よりも体や手足に多く見られるのが特徴です。
治療は保湿剤を続けて使うことが最も大切です。お風呂の後すぐに全身に塗りましょう。お風呂では石鹸の使いすぎや熱いお湯、長時間の入浴を避け、皮脂を落としすぎないようにします。炎症がある場合は弱めのステロイド外用薬を使うこともあります。症状が良くなっても、予防のための保湿ケアを続けることが大切です。
特定の物質が皮膚に触れることで起こる皮膚炎です。よだれかぶれ、おむつかぶれがこれにあたります。よだれ、おしっこ・うんちなどによる刺激が長時間触れることで皮膚に炎症が起こります。皮膚のバリア機能が未熟な乳児は特になりやすいです。ひどい場合は皮膚がただれたり、皮がむけたりして、痛みやしみる感じを伴います。
治療としては、皮膚の炎症を抑えるために弱めのステロイドを外用することが多いですが、原因となるものとの接触を避けることが最も大切です。よだれはこまめに拭き取り、おむつは頻繁に替えて清潔を保ちましょう。ぬるま湯で優しく洗い、しっかり乾かしましょう。
汗管(汗の通り道)が詰まり、汗が皮膚の中にたまることで起こる湿疹です。乳児は体温調節の機能が未熟で汗をかきやすく、皮膚が柔らかいため汗の通り道が詰まりやすい特徴があります。暑くて湿気の多い環境や厚着、熱が出た時などにできやすく、夏に多く見られますが、冬でも暖房や着せすぎで起こることがあります。首、肘、膝など汗をかきやすい場所に、小さな赤いブツブツや透明~白っぽい小さな水ぶくれができます。
治療としては、皮膚の炎症を抑えるために弱めのステロイドを外用することが多いですが、涼しく風通しの良い環境を保ち、厚着をさせすぎないことが大切です。通気性の良い綿素材の服を選び、エアコンや扇風機で適度な室温を保ちましょう。
生後2週間前後の新生児の顔に、にきび様の皮疹が現れることがあります。母親由来の性ホルモンが原因と考えられており、2~3ヵ月で自然消退することが多いです。
連鎖球菌や黄色ブドウ球菌などの細菌による表皮への感染症です。赤みや水ぶくれ(水疱)、かさぶたが生じ、湿疹と見分けがつきにくい症状を呈することがあります。疑わしい場合は培養検査を行います。治療には抗菌薬の内服と外用が有効です。
白癬菌という真菌による感染症です。おむつのような高温多湿の環境では真菌(かび)が増殖しやすく、おむつかぶれの場合に鑑別を要します。体部白癬は湿疹と見分けがつきにくい症状を呈することがあるためです。疑わしい場合は顕微鏡検査を行います。治療は抗真菌薬の外用が必要です。
単純ヘルペスウイルスによる感染症です。赤み、水ぶくれ(水疱)、ただれ(びらん)、かさぶたが生じ、よだれかぶれとおむつかぶれの場合に鑑別を要します。口唇ヘルペス、性器ヘルペスが、それぞれよだれかぶれ、おむつかぶれと似た皮疹を呈することがあるためです。疑わしい場合はデルマクイックHSVを行います。抗ウイルス薬の内服が必要です。
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